転職先の離職率を調べるには、企業の公式資料、求人情報、口コミサイト、面接や転職エージェントへの質問を組み合わせます。ただし、離職率の計算方法や対象範囲は企業によって異なるため、数字だけでなく「いつの情報か」「どの社員を対象にした数字か」まで確認することが大切です。
転職先の離職率を調べる主な方法
まずは、次の順番で確認すると、特定の情報源だけに頼らず判断できます。
- 企業の公式サイトやIR資料を確認する
- 求人票や求人広告の記載を見る
- 転職サイトや口コミサイトで傾向を確認する
- 転職エージェントや採用担当者に質問する
- 面接や職場見学で、離職の背景を確認する
企業の公式サイト・IR資料を確認する
上場企業であれば、企業サイトの採用ページ、統合報告書、サステナビリティ資料、有価証券報告書などに、従業員数や平均勤続年数、採用者数、離職者数が掲載されている場合があります。
ただし、すべての企業が離職率を公表しているわけではありません。離職率の記載がないことだけで、離職が多い企業、または少ない企業とは判断できません。
確認するときは、次の項目を探します。
- 離職率または退職率
- 離職者数と採用者数
- 平均勤続年数
- 従業員数の推移
- 新卒入社者の3年以内離職率
- 正社員、契約社員、パートなどの対象区分
- 全社の数字か、特定の事業・職種の数字か
求人票や求人広告を確認する
求人票に「定着率」「直近1年間の離職者数」「平均勤続年数」などが記載されていることがあります。求人情報に具体的な数値がある場合は、対象期間と対象者を確認してください。
たとえば「定着率95%」と書かれていても、入社後の短期間だけを対象にしているのか、正社員だけを対象にしているのかは、記載内容によって異なります。また、部署や職種を限定した数字である可能性もあります。
求人票に離職率が見当たらない場合、「情報が見つからない」だけであり、離職率が高い、または公表を拒んでいるとまでは断定できません。
転職サイト・口コミサイトで傾向を見る
転職サイトや社員口コミサイトでは、退職理由、在籍年数、残業時間、職場の雰囲気などから、離職の傾向を確認できます。
ただし、口コミサイトの投稿者は在籍者や退職者の一部です。投稿時期、所属部署、職種、雇用形態によって内容が変わるため、口コミの件数や印象を会社全体の離職率として扱わないでください。
口コミを見るときは、同じ内容が複数の投稿に出ているかだけでなく、次の条件が一致しているかを確認します。
- 自分が応募する職種と同じか
- 勤務地や配属予定部署が近いか
- 投稿された時期が古すぎないか
- 退職理由が一時的な事情か、継続的な問題か
- 管理職、若手、中途入社者など、どの立場の話か
面接やエージェントに離職率を質問する
公開資料で分からない場合は、採用担当者や転職エージェントに、離職率そのものだけでなく、対象範囲や離職の理由を質問します。
質問するときは、「離職率は何%ですか」と単独で尋ねるより、期間や対象を指定するほうが具体的な回答を得やすくなります。
- 「直近1年間の中途入社者の在籍状況を教えていただけますか」
- 「今回の職種では、入社後1年以内に退職する方はどの程度いますか」
- 「直近1年間に、このポジションから退職した人数と主な理由を教えていただけますか」
- 「離職率は正社員のみの数字ですか。契約社員なども含みますか」
- 「配属予定の部署で、過去1年の人員の増減を教えていただけますか」
採用担当者が具体的な数字を回答できない場合でも、退職者数の数え方、在籍年数、募集理由などを説明してくれるかを確認できます。回答の内容だけでなく、質問への向き合い方も判断材料になります。
離職率の数字は計算方法を確認する
同じ「離職率」という言葉でも、計算式や対象者が違えば数字を単純比較できません。
一般的な計算例は、次のとおりです。
離職率 = 一定期間の離職者数 ÷ その期間の平均従業員数 × 100
ただし、企業によっては期首の従業員数を分母にしたり、正社員だけを対象にしたりするなど、別の方法を使うことがあります。
たとえば、1年間の離職者が10人、期首と期末の従業員数の平均が100人だった場合、計算例では「10人 ÷ 100人 × 100 = 10%」です。これは説明のための仮定例であり、特定企業の実際の離職率ではありません。
確認するべき対象範囲
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 期間 | 直近1年、年度、入社後3年など、どの期間か |
| 対象者 | 正社員のみか、非正規雇用者も含むか |
| 対象組織 | 会社全体か、事業部・店舗・職種ごとか |
| 離職の定義 | 自己都合退職、会社都合退職、契約満了などを含むか |
| 分母 | 期首人数、期末人数、期間中の平均人数のどれか |
たとえば、会社全体の離職率が低くても、応募する営業部門だけ離職が多い可能性があります。転職先を比較するときは、できるだけ自分の配属先と同じ職種・部署の数字を確認してください。
「平均勤続年数」だけで離職率を判断しない
平均勤続年数は参考になりますが、離職率そのものではありません。長く在籍する社員が多い一方で、若手や中途入社者が短期間で退職しているケースも考えられます。
反対に、事業拡大で若い社員を多く採用した会社では、平均勤続年数が短く見えることがあります。そのため、平均勤続年数は従業員数の推移や入社後の定着状況と一緒に確認します。
特に中途採用で入社する場合は、会社全体の数字よりも、次の情報を優先すると判断しやすくなります。
- 中途入社者の1年後、3年後の在籍状況
- 応募する職種の直近の退職者数
- 同じ上司や部署での人員の入れ替わり
- 退職者が出た理由と、会社が行った改善
- 欠員補充なのか、事業拡大による増員なのか
離職率が高いか判断するときの注意点
離職率の高さだけで、転職先の良し悪しを決めることはできません。営業職、販売職、介護職など、職種によって人の入れ替わりやすさが異なり、拠点の新設・閉鎖や事業再編によって数値が変わることもあります。
一方で、次のような情報が複数重なる場合は、追加確認が必要です。
- 同じ職種の退職理由が複数の情報源で一致している
- 求人が長期間、同じ内容で繰り返し掲載されている
- 募集理由や配属先を質問しても説明が曖昧である
- 入社後の研修、評価、残業、休日などの条件が求人情報と面接で違う
- 直近の人員減少について、具体的な説明がない
これらは離職率が高いことの証明ではありませんが、入社後の働き方を詳しく確認するきっかけになります。
転職先の離職率を調べる手順
応募先を比較するときは、次の手順で情報を記録すると、印象だけで判断しにくくなります。
- 企業名、職種、勤務地、配属予定部署をメモする
- 公式サイトや求人票から、離職率、定着率、平均勤続年数を探す
- 数字が見つかったら、対象期間と対象者を確認する
- 口コミサイトで、同じ職種・勤務地・時期の投稿を確認する
- 採用担当者やエージェントに、直近の退職者数と主な理由を質問する
- 情報源ごとに「確認できた事実」「個人の意見」「不明な点」を分けて記録する
- 自分が重視する条件と照らし合わせ、応募や内定承諾を判断する
最後に、離職率の数字だけでなく、退職理由が自分にとって許容できるかを考えます。たとえば、勤務地の変更による退職が多い会社と、長時間労働による退職が多い会社では、同じ離職率でも受け止め方が変わります。
転職先の離職率を調べるときの結論
転職先の離職率は、企業の公式資料や求人票で数値を確認し、口コミ、採用担当者への質問で補うのが基本です。公開されている数字があっても、期間・対象者・計算方法が違えば比較できないため、同じ条件にそろえて見ます。
最初に確認するのは、応募する職種・部署の「直近の退職者数」「退職理由」「入社後の定着状況」です。会社全体の平均勤続年数や口コミの印象だけで決めず、入社後の自分に近い条件の情報を集めて判断してください。







