転職時の雇用契約書では、契約期間、仕事内容、勤務地、勤務時間、賃金、休日、退職・解雇の条件を確認します。雇用契約書が渡されない場合でも、会社は労働条件を明示する義務があるため、「労働条件通知書」も必ず確認してください。
特に、求人票や面接時の説明と書面の内容が違う場合、固定残業代が含まれている場合、契約社員として入社する場合は、署名する前に会社へ確認することが大切です。
転職時の雇用契約書で確認すべき事項
まず、次の項目を雇用契約書または労働条件通知書で確認します。記載がない項目は、口頭の説明だけで判断せず、書面で確認を求めましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 契約期間 | 期間の定めがあるか、入社日と契約満了日、更新の有無 |
| 更新条件 | 更新の判断基準、更新回数や通算契約期間の上限 |
| 仕事内容 | 入社直後の業務と、将来の変更範囲 |
| 勤務地 | 入社直後の勤務地、転勤や勤務地変更の範囲 |
| 勤務時間 | 始業・終業時刻、休憩時間、フレックスタイムやシフトの有無 |
| 休日・休暇 | 休日の曜日、年間休日、年次有給休暇、特別休暇 |
| 賃金 | 基本給、手当、締め日、支払日、賞与、昇給、退職金 |
| 時間外労働 | 残業の有無、固定残業代の時間数と超過分の扱い |
| 退職・解雇 | 定年、自己都合退職の手続き、解雇事由や退職に関する規定 |
| 社会保険など | 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の加入 |
契約期間と更新条件を確認する
正社員として採用される場合は、通常、雇用期間の定めがない「無期雇用」かどうかを確認します。一方、契約社員や派遣社員などは、契約期間が決まっている有期雇用であることが多いため、契約開始日と満了日を確認してください。
有期契約の場合は、契約期間だけでなく、次の内容も重要です。
- 契約更新の可能性があるか
- 更新する場合の判断基準は何か
- 更新回数や通算契約期間に上限があるか
- 更新しない場合、いつまでに通知されるか
- 無期契約へ変更できる制度があるか
「原則更新」と書かれていても、更新が保証されるとは限りません。更新条件に「勤務成績」「会社の業績」「担当業務の有無」などが書かれている場合は、具体的な判断基準を確認しましょう。
また、有期契約が更新されて通算5年を超える場合、労働者が申し込むことで無期契約へ転換できる「無期転換ルール」の対象になることがあります。ただし、契約期間の通算方法や対象外となる場合もあるため、契約書の期間と更新履歴を保管しておくことが大切です。
仕事内容と勤務地は「変更の範囲」まで確認する
仕事内容は、入社直後に担当する業務だけでなく、将来変更される可能性がある業務の範囲も確認します。求人票に「営業」と書かれていても、契約書に「会社が指定する業務」と記載されていれば、担当業務の範囲が広い可能性があります。
勤務地も同様に、入社時の勤務地だけでなく、転勤や事業所変更の範囲を確認してください。次のような点が、面接時の説明と一致しているかを見ます。
- 勤務地は特定の事業所に限定されているか
- 全国転勤や海外勤務の可能性があるか
- 在宅勤務と出社勤務の割合や扱いはどうなっているか
- 会社都合で勤務地が変更される可能性があるか
「転勤なし」と説明を受けたのに、書面に広い範囲の勤務地変更が記載されている場合は、署名前に会社へ確認し、回答をメールなどで残しましょう。
勤務時間、残業、休日を確認する
勤務時間は、始業時刻と終業時刻だけでなく、休憩、残業、休日出勤、シフト変更の有無まで確認します。
- 所定労働時間は何時間か
- 休憩時間は何分か
- 固定勤務、シフト制、フレックスタイム制のどれか
- 残業の月平均や繁忙期の勤務時間はどの程度か
- 休日出勤をした場合の振替休日や割増賃金はどうなるか
- 年間休日や土日祝日の扱いはどうなっているか
「完全週休2日制」と「週休2日制」は意味が異なります。前者は毎週2日休みを指すのが一般的ですが、後者は1か月のうちに週2日休みの週が1回以上ある制度を指すことがあります。休日数は、曜日だけでなく年間休日の日数でも確認しましょう。
給与は総額ではなく内訳を確認する
給与は、求人票に表示された月給だけで判断せず、基本給と手当の内訳を確認します。手当が固定的に支給されるのか、条件を満たした月だけ支給されるのかによって、毎月の受取額が変わるためです。
固定残業代が含まれている場合
月給に固定残業代が含まれている場合は、少なくとも次の3点を確認します。
- 固定残業代はいくらか
- 何時間分の残業代に相当するか
- 設定された時間を超えた残業について、追加の割増賃金が支払われるか
例えば、「月給30万円」とだけ書かれていて、基本給や固定残業代の内訳が分からない場合は、給与条件を十分に比較できません。「基本給25万円、固定残業代5万円・20時間分」のように、内訳と時間数を確認してください。
固定残業代があるからといって、設定時間を超えた残業代が不要になるわけではありません。超過分の扱いが書面で分からない場合は、会社に確認しましょう。
賞与、昇給、手当、退職金
賞与や昇給は、支給が確定しているのか、会社の業績や評価によって変わるのかを確認します。「賞与年2回」と書かれていても、支給額や支給を保証する意味とは限りません。
次の条件も確認しておくと、入社後の給与を見積もりやすくなります。
- 試用期間中に給与や手当が変わるか
- 住宅手当、資格手当、家族手当などの支給条件
- 通勤手当の上限や対象となる交通手段
- 賞与の算定期間と入社初年度の扱い
- 退職金制度の有無と支給条件
試用期間の条件を確認する
試用期間がある場合は、期間、給与、勤務時間、社会保険、試用期間終了後の扱いを確認します。試用期間中も雇用契約は成立しており、無条件に解雇できるという意味ではありません。
本採用後と試用期間中で給与や手当が異なる場合は、その金額と差が生じる期間を確認してください。「試用期間3か月」とだけ記載され、給与が不明な場合は、入社前に書面で明示してもらいましょう。
退職や解雇に関する条件を確認する
自己都合で退職する場合の申し出方法、定年の年齢、再雇用制度、解雇に関する規定も確認します。就業規則がある場合は、雇用契約書とあわせて確認すると、契約書に書かれていないルールを把握できます。
特に、次のような条項がある場合は内容を確認してください。
- 退職の申し出は何日前まで必要か
- 定年後の再雇用制度があるか
- 競業避止や副業禁止の範囲
- 転勤や出向を命じる条件
- 損害賠償や違約金に関する条項
会社が用意した書面に疑問があっても、内容を理解しないまま署名しないことが重要です。就業規則や社内規程が契約書に添付されていない場合は、どの規程が適用されるのかも確認しましょう。
雇用契約書と労働条件通知書の違い
雇用契約書は、会社と労働者が労働条件に合意したことを示す書類です。一方、労働条件通知書は、会社が労働条件を労働者へ明示するための書類です。1枚の書面に両方の内容をまとめている会社もあります。
会社は、労働契約を結ぶ際に、賃金や労働時間などの重要な労働条件を明示する必要があります。書面での明示が必要な事項には、契約期間、就業場所、業務内容、労働時間、賃金、退職に関する事項などが含まれます。
2024年4月以降は、就業場所と業務について、入社直後の内容に加えて、将来の変更範囲も明示する扱いになっています。有期契約では、更新上限や無期転換に関する事項も確認対象となるため、古い雛形のままになっていないか注意してください。
署名前に条件が違うと気づいたときの対応
求人票や面接で聞いた条件と雇用契約書の内容が違う場合は、署名前に次の順番で確認します。
- 求人票、面接時のメール、内定通知など、説明された条件を整理する
- 雇用契約書や労働条件通知書の該当箇所を確認する
- 違いがある項目を具体的に示し、人事担当者へ質問する
- 回答内容をメールなどの記録に残す
- 納得できない条件がある場合は、署名前に修正や説明を求める
口頭で「大丈夫」と説明された場合でも、重要な条件は書面に反映してもらうと安心です。会社が書面の交付や説明を拒み、条件も明確にならない場合は、入社を急がず、労働基準監督署や総合労働相談コーナーなどへの相談を検討してください。
転職時の雇用契約書を確認するポイント
転職時は、雇用契約書の内容が求人票や面接時の説明と一致しているかを確認します。特に、雇用期間、更新条件、仕事内容と勤務地の変更範囲、給与の内訳、固定残業代、休日、試用期間は、入社後の働き方や収入に影響しやすい項目です。
最初に、契約書と労働条件通知書を受け取り、条件が不明な項目を一覧にして人事担当者へ書面で質問してください。納得できないまま署名せず、回答と修正後の書面を確認してから入社を判断しましょう。







